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大阪地方裁判所 昭和44年(ワ)5569号 判決

原告

中西光明

被告

京都府

ほか二名

主文

一  被告橋本メリヤス株式会社および被告李東は、各自原告に対し、金二、四五九、二七七円、およびうち金二、二五九、二七七円に対する昭和四四年一一月五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告の被告橋本メリヤス株式会社および被告李東に対するその余の請求、ならびに被告京都府に対する全請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを三分し、その一を原告の、その余を被告橋本メリヤス株式会社および被告李東の各負担とする。

四  この判決は、第一項にかぎり、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告らは、各自原告に対し六、〇三一、〇三九円、およびうち五、四三一、〇三九円に対する昭和四四年一一月五日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は、被告らの負担とする。

との判決ならびに仮執行の宣言。

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

との判決ならびに被告京都府につき仮執行免脱の宣言。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和四二年一一月二〇日午後八時頃

(二) 場所 京都府相楽郡和束町大字杣田府道上

(三) 加害車 普通貨物自動車(大阪四ほ二三六八号)

右運転者 被告李

(四) 被害者 原告(加害車に同乗)

(五) 態様 加害車が道路南側の山肌に激突した。

2  責任原因

(一) 運行供用者責任(自賠法三条)

被告橋本メリヤス株式会社(以下被告会社という。)は、加害車を所有し、自己のために運行の用に供していたところ、その運行によつて他人である原告に損害を与えた。

(二) 一般不法行為責任(民法七〇九条)

被告李は、加害車を運転して右場所を時速四〇粁で東進中、事故現場手前約五〇米の道路左側の部分にあつた道路工事の土盛を避けようとしたが、前方注視義務および安全運転義務を怠つた過失により運転を誤り、加害車を道路南側の山肌に激突させ、本件事故を発生させた。

(三) 道路管理の瑕疵による責任(国家賠償法二条)

本件事故現場は片側が川で片側が山であり、夜間は附近に照明がなく、山影で前方が見えにくい山間の道路であるところ、被告京都府は、その設置管理にかかる本件道路の工事中のための土盛につき、夜間において工事現場の所在を識別するに足りる照明等の標識を設置するべきであるのに、これを設けず、道路としての安全性の保持に欠け、右道路の管理上瑕疵があつたが、このため本件事故が発生した。

3  損害

(一) 原告の傷害等

原告は、本件事故により、顔面頸部挫創、左強角膜切創、兼虹彩脱出、兼外傷性葡萄膜炎、兼前房硝子体出血、右強膜裂創兼角膜ビランの傷害を受け、昭和四二年一一月二一日から同四三年三月二日まで、および同年八月六日から同年九月二日まで東大阪市立中央病院に入院し、同四三年三月三日から同年八月五日まで同病院に通院して治療を受けたが、左眼は失明し、右眼も視力〇・六に低下の後遺障害が固定したが、なお将来右眼も失明の恐れがある。

(二) 入院室料

原告は、右入院中九九、〇〇〇円の部屋代を支払い同額の損害を受けた。

(三) 入院付添費

原告は、右入院中付添看護を必要とし、母親が付添看護したが、一日一、〇〇〇円の割合による九九日分合計九九、〇〇〇円の付添費相当の損害を受けた。

(四) 通院交通費

原告は、右通院中、交通費として六、〇〇〇円を要し、同額の損害を受けた。

(五) 入院雑費

原告は、右入院中八二、三一五円の入院雑費を要し、同額の損害を受けた。

(六) 眼鏡代 九、五〇〇円

(七) 逸失利益

原告は、事故当時一八才で、一ケ月二四、四五九円の収入を得ていたが、右後遺障害のため、労働能九を七〇パーセント喪失し、就労可能年数は四三年と考えられるから、原告の逸失利益を年別のホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して算出すると四、六四五、二二四円となる。

(計算式二四、四五九円×一二×〇・七×二二・六一=四、六四五、二二四円)

(八) 慰藉料 二、〇〇〇、〇〇〇円

(九) 弁護士費用 六〇〇、〇〇〇円

4  損害の填補

原告は、自賠責保険から一、五一〇、〇〇〇円を受領した。

5  結論

よつて、原告は被告ら各自に対し、損害残額の六、〇三一、〇三九円、およびこれから弁護士費用を除く五、四三一、〇三九円に対する本件不法行為の日の後である昭和四四年一一月五日から支払ずみまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否

1  被告会社

請求原因1の(一)ないし(五)の事実は認める。2の(一)の事実は争う。原告は、被告会社の運転手であり、事故当時には東大阪市の本社から滋賀県の信楽工場に被告李を連れていく職責があつたのであるが、被告会社が右李に運転させることを厳禁していることを知りながら運転を右李と交替したものであり、原告が加害車の助手席に乗つていたとしても運転者本人というべきであり、自賠法三条の他人にはあたらない。3の事実は不知、4の事実は認める。

2  被告李

請求原因1の(一)ないし(五)、および2の(二)の事実は認める。

3の事実は争う。

3  被告京都府

請求原因1の(一)ないし(五)の事実は認める。2の(三)の事実は否認する。本件事故の発生は専ら被告李の過失に基因するものであり、被告京都府の道路管理上の瑕疵とは因果関係がない。3の事実は争い、4の事実は認める。

三  被告らの主張

1  被告会社

(一) 過失相殺の主張

原告には前記のとおり被告会社の命令に違反して運転を交替した過失があり、また、被告会社は本件事故により車両修繕費として五〇五、〇九五円の支払を余儀なくされ、また、被告李の負傷により被告会社の信楽工場は二〇日間にわたり営業を続けることが不可能となり四〇万円を下らない損害を受けたので、損害額の算定につき斟酌すべきである。

(二) 相殺の抗弁

被告会社は、原告に対し一〇四、二六〇円の貸金債権を有しているところ、昭和四八年二月九日の本件口頭弁論期日において、右貸金債権をもつて、原告の本訴債権とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。

2  被告京都府

(一) 過失相殺の主張

原告は、自ら加害車を運転すべき職務を負いながら、それを果さず、かえつて、夜間、危険な山間部の川沿いの道路において、自動車を運転することに習熟していない同乗者の被告李をして運転させたのみならず、その間自らは居眠りをしていて被告李の運転について何らの注意を払つていなかつたから、原告自らが危険に身を投じたもので、重大な過失があり、損害額の算定につき斟酌すべきである。

四  被告らの主張に対する原告の認否

全て否認する。原告は、専ら自動車運転手として雇われていたものではなく、その本務はメリヤス編立仕上工であり、信楽工場における工員の監督を兼ねていた。被告李も原告と同様、仕事の関係から本社工場と信楽工場の間を往復することが多く、また、両者が同乗することも多かつたところ、被告李も運転免許証を有しており、距離も相当あることから、両者が交替して運転することを被告会社においても認めていた。

第三証拠 〔略〕

理由

第一事故の発生について

請求原因1の(一)ないし(五)の事実は当事者間に争いがない。

〔証拠略〕を総合すると、

一  本件事故現場は、京都府相楽郡和束町大字杣田小字口杣田一七番地府道木津水口線上で、東西に走る見とおしのよい直線の幅員六米のコンクリート舗装道路であり、道路に沿つて北側は和束川が流れており、南側は山林となつていること、附近には人家や街灯がなく夜間は相当暗いこと、事故発生場所の手前(西側)約三〇米附近において道路北側部分に長さ四・三米幅約一米余にわたり路面の損傷があり、その部分を囲むように、道路損傷箇所の西北端の地点と、これから一・五米南側の地点、およびこれから約四・三米東側で道路北端より一・八米南側の地点、さらにこれから一・八米北側の道路北端の地点に、路面損傷箇所を表示するための白黒まだらの標柱が四本設置され、この損傷箇所を囲んでロープがはりめぐらされていたこと、しかしランプ等の照明設備の設置はされていなかつたこと、

二  被告李は、加害車を運転して、前記府道を時速約三五ないし四〇粁で東進中、前記路面損傷箇所の手前(西側)約四〇ないし五〇米附近にさしかかつたころ、折から対向して来た単車の前照灯に眩惑されたのであるが、別段減速もせずそのまま進行していたところ、右路面損傷箇所の約二〇米手前に至つて初めてこれに気がつき、慌てて急に右転把してこれを避けて通過し、すぐに左転把して道路左側に戻ろうとしたが、その際左前方を見たところ真暗で何も見えなかつたことから、左方の和束川に転落するのではないかと錯覚し、再び右転把すると同時に制動措置をとつたが、右路面損傷箇所北端中央から約二九・五米の地点で、加害車の右前部が道路南側の山肌に衡突したこと、事故現場には、左車輪につき一四米、右車輪につき一一米にわたりタイヤ痕ないしはスリツプ痕が残されていたこと、

三  原告は、加害車の助手席で足を高くあげた姿勢で同乗し、前方をよく見ていなかつたこと、

以上の事実を認めることができ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

第二責任原因について

一  被告会社について

〔証拠略〕を総合すると、被告会社には東大阪市の本社工場と滋賀県の信楽工場とがあり、被告李は信楽工場のメリヤス編立技術指導員として被告会社に勤務し、事故までに一ケ月四、五回の割合で一四、五回本社と信楽工場とを行き来していたが、原告の運転する自動車または被告会社代表者の自動車に同乗して右往復をしていたこと、被告李自身も運転免許証を持つていたが、右工場間の往復につき自動車を自ら運転することはなかつたこと、原告は被告会社に勤務し、本社と信楽工場の連絡係として自動車を運転する他、信楽工場でメリヤスの編立をしたり、女子工員の監督をする等の雑用もしていたこと、被告李の信楽工場への送り迎えは必ずしも原告の運転する自動車によるものとは決まつていなかつたこと、事故当日は、原告は被告李を信楽工場まで送るために被告会社所有の加害車を運転していたが、途中の山城町の食堂で食事をした後、原告の申出により原告より年長の被告李が運転を交替し、そこから事故現場に至るまでは被告李が加害車を運転し原告は助手席に同乗していたこと、以上の事実を認めることができる。被告会社代表者本人は、被告李は運転を同人の妻から禁じられ運転免許証も所持していなかつたし、被告会社の方でも運転することを禁じ、また原告に対しても被告李と運転を交替することを禁じていた旨供述するが、前記証拠によれば、被告李は今までに事故を起こした経歴もなく、また本件事故に際し免許証携帯義務違反で取調べを受けた形跡もないのであるから、右供述部分は、原告および被告李各本人尋問の結果に照らしにわかに信用することができず、また、被告会社代表者本人は、原告は運転手が本務であつた旨供述するが、被告会社と原告間において〔証拠略〕の雑役という職種名の記載からしても、たやすく信用することができず、他に前記認定を覆えすに足る証拠はない。

以上認定の事実によれば、被告会社は加害車を所有し、本件事故当時これを本社と信楽工場間の連絡用に使用して自己のために運行の用に供していたことが認められ、また原告は本件事故当時被告会社の業務のために加害車に乗車していたのであるから加害車の運行供用者ではなく、且つ事故当時には、運転をすべて、免許を有する被告李に委せていた(被告会社がこれを禁止していたとは認められない。)のであるから、原告が加害車の運転者ないしはこれに準ずる運転補助者であつたともいうことができず、結局原告は加害車の単なる同乗者として、自賠法三条の他人にあたるものと認めるのが相当である。

そうすると、被告会社は自賠法三条により、本件事故によつて原告に生じた損害を賠償する責任がある。

二  被告李について

請求原因2の(二)の事実は当事者間に争いがない。よつて、被告李は民法七〇九条により、本件事故によつて原告に生じた損害を賠償する責任がある。

三  被告京都府について

前記第一で認定した事実によれば、本件事故現場手前(西側)の路面損傷箇所およびその表示のための標柱が設置されている部分は、道路北端より一・八米の範囲内に限られていたものであるところ、道路幅は六米であるから、損傷箇所の南側には自動車が容易に通行できる余地が十分にあり、また損傷箇所の四隅には目黒まだらの標柱が設置されたロープがはりめぐらされていたのであるから、たとえその場所に照明がなくとも、自動車運転者において通常の前方注視義務をつくして運転していたならば、前照灯の照射によつて容易に損傷箇所を発見することができ、損傷箇所を難なく通過できたものと認められる。

ところで、前記認定の事実によれば、被告李は損傷箇所の手前(西側)約四〇ないし五〇米附近で対向車の前照灯に眩惑されたのであるから、直ちに徐行または一時停止して視力が平常に復してから前方注視を厳にして進行すべき注意義務があるのに、別段減速もせずそのまま進行を継続し、且つ前方注視を十分につくしていなかつた過失により、右損傷箇所の約二〇米手前に至つて初めてこれに気付き、慌てて右転把してこれを避けたものの、狼狽のあまりその後のハンドル操作を誤つて本件事故を発生させたものであることが認められる。

そうすると、本件道路の客観的状況の下においては、自動車運転者が通常の注意義務をつくしておれば、一般に本件事故のような結果は生じなかつたものと認められるところ、本件事故は専ら被告李の前記運転上の過失に基因して生じたものと認められるから、結局本件事故と前記損傷箇所および標柱の存在とは法律上相当因果関係がないものと言わざるをえない。よつてその余の点について判断するまでもなく、原告の被告京都府に対する請求は理由がない。

第三損害について

一  傷害と治療の経過等について

〔証拠略〕を総合すると、原告は、本件事故により請求原因3の(一)記載の傷害を受け、昭和四二年一一月二一日から同四三年三月二日まで、および同年八月六日から同年九月二日まで合計一三一日間東大阪市立中央病院に入院し、同年三月三日から同年八月五日まで、および同年九月三日から同年一〇月一四日まで同病院に通院して治療を受けたが、同年一〇月一四日には、右視力〇・六に低下し、左視力はゼロで矯正不能の後遺障害が固定したこと、以上の事実を認めることができ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

二  入院付添費について

〔証拠略〕によれば、原告は右入院期間のうち七七日間は付添看護を必要とし、その母親が付添看護したことが認められるから、一日一、〇〇〇円の割合による七七日分合計七七、〇〇〇円の付添費相当の損害を受けたものと認められるが、右を超える分については、本件事故と相当因果関係があると認めるに足りる証拠はない。

三  入院雑費について

原告は、一三一日間入院したことは前記認定のとおりであり、右入院中一日三〇〇円の割合による一三一日分合計三九、三〇〇円の雑費を要したことは経験則上これを認めることができるが、右を超える分については本件事故と相当因果関係がないと認められる。

四  眼鏡代について

〔証拠略〕によれば、原告は前記後遺障害のため眼鏡を購入することを余儀なくされ、右購入費用として少なくとも九、〇〇〇円を要し、同額の損害を受けたことが認められ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はない。

五  入院室料および通院交通費について

入院室料については、これを認めるに足りる証拠はない。また、通院実日数を確定するに足りる証拠がないので通院交通費も認めるに足りる証拠がないが、慰藉料額の算定で斟酌することとする。

六  逸失利益について

〔証拠略〕を総合すると、原告は、事故当時一八才の男子で、被告会社に雑役夫として勤務し、事故前三ケ月間には同会社から七三、三七九円(一ケ月平均二四、四五九円)の給料を得ていたが、前記後遺障害のため労働能力を終生にわたり四五パーセント喪失し、就労可能年数は昭和四三年一〇月から平均余命の範囲内で四三年であると認められるので、原告の逸失利益の現価額を年別のホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除して算出すると二、九八六、二九七円となる。(なお、弁論の全趣旨から、原告は休業期間中の逸失利益については労災保険から補償を受け、従つて本訴においては、休業補償は請求していないものと認められる。)

(計算式二四、四五九円×一二×〇・四五×二二・六一=二、九八六、二九七円)

七  慰藉料について

前記認定の本件事故の態様、原告の傷害の部位、程度、治療の経過および期間、後遺障害の内容、程度、その他諸般の事情を考慮すると、原告が本件事故によつて受けた精神的損害に対する慰藉料額は一、六〇〇、〇〇〇円をもつて相当と認める。

第四過失相殺および損害の填補について

前記認定の事故の態様によれば、原告は、本件道路を何度も運転して往来し道路状況を熟知していたのに対し、被告李は本件道路を初めて運転するのであるから、原告としては夜間、川沿の山間部の道路における運転を、軽々しく被告李に委ねるべきではなかつたものであり、また被告李に運転を委せたのちにおいても、その運転につき適切な指示等をすることにより事故の発生を避け、あるいは被害の増大を防ぐことが可能であつたと認められるにも拘らず、前方も見ず助手席で足を高くあげた不安定な状態で同乗して、被告李の運転に気を配つていなかつたことが認められ、かつこの事情が被害を増大させたものと認められるので、このような事情の認められる本件については損害額の算定につき、その二割を減ずるのが相当であると認められる。

ところで、原告が自賠責保険から一、五一〇、〇〇〇円を受領ずみであることは、原告の自認するところであるので、損害はこの範囲内において填補されたものと認められ、結局損害残額は二、二五九、二七七円となる。〔計算式(七七、〇〇〇円+三九、三〇〇円+九、〇〇〇円+二、九八六、二九七円+一、六〇〇、〇〇〇円)×〇・八-一、五一〇、〇〇〇円=二、二五九、二七七円〕

第五被告会社の相殺の抗弁について

被告会社は、原告に対する貸金債権を自働債権として本訴請求債権と相殺する旨主張するのであるが、本訴請求債権は不法行為によつて生じた債権であつて民法五〇九条により相殺を禁止されているので、その主張自体失当である。

第六弁護士費用について

本件事案の内容、審理の経過、および認容額等に照らし、原告が被告会社および被告李に対して本件事故による損害として賠償を求めうる弁護士費用額は二〇〇、〇〇〇円を相当とすると認める。

第七結論

以上のとおり、原告は、被告会社および被告李各自に対し、二、四五九、二七七円、およびこれから弁護士費用を除く二、二五九、二七七円に対する本件不法行為の日の後である昭和四四年一一月五日から支払ずみまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求めうるから、原告の請求をこの限度で認容し、被告会社および被告李に対するその余の請求、ならびに被告京都府に対する全請求を失当として棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条、九三条を、仮執行の宣言につき同法一九六条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 奥村正策 小田泰機 菅英昇)

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